《 趣味の引用 》

"《私は彼を見つめた。私は兄を見つけたので、それは私が誇りにすることのできる、そして愛することのできる兄で、さらに二人の姉も見つけ、二人をただの他人として知ったときから私はこの二人に心から愛情と尊敬を抱いたのだった。私がぬれた地面に膝を突いて、ムア・ハウスの台所の格子窓を通して絶望と興味が入り混じった気持で眺めた二人の若い女も、私が瀕死の状態で戸のところに倒れているのを見つけた立派な若者も私の近親なのだった。それまで一人ぼっちでいたものにとってこれはたいへんな発見だった。これこそ富というもので、心を豊かにする純粋な愛情の富だった。これは重たい黄金の贈物と違って人を喜びで満たす恵みであり、私はうれしくなって手を叩いた。私の脈拍が激しくなり、血管に血が奔流した。》p544"
シャーロット・ブロンテ 『ジェイン・エア』吉田健一訳(集英社文庫、1979)
— 2年前
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